住友化学の最新の業績についての報道がありました。住友化学がサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコと共同運営する石油化学プラント「ペトロ・ラービグ」の経営状況が厳しいと伝えられています。2024年3月期の連結最終損益が950億円の赤字に転落する見通しのようです。この赤字転落が住友化学の将来に影響を及ぼすと言われており、経営状況の改善策に取り組む必要性が高まっています。
この赤字転落の原因として挙げられているのが石油化学事業の落ち込みです。中国景気の減速により、製品の需要が減少し、収益が下がっています。また、海外勢が能力を増強しているため、需給バランスが崩れているとも報じられています。
住友化学はこの業績不振に対応するため、「短期集中業績改善策」を来期に向けて実施する予定です。不採算事業の縮小・売却や在庫削減、投資の厳選などを行い、キャッシュ創出とコア営業利益の改善を目指します。これに加えて、中長期的な成長のための事業や技術の見極めも行われる予定です。
さらに、役員賞与の支給を見送ることも決定されました。これにより、経営陣も自らの給与を削減し、経営状況の改善に全力を尽くす姿勢を示しています。
住友化学が抱える課題は、サウジアラビアで展開するペトロ・ラービグです。約2兆円という総事業費をかけて進められたこのプロジェクトは、安定した利益を出せず、何度も赤字を計上してきました。設備トラブルなどもあり、安定稼働が困難な状況が続いています。
市場関係者の間では、このプロジェクトの収益性が低いとの見方が広がっています。石油化学事業の落ち込みと合わせて、住友化学の業績に悪影響を及ぼしているとされています。
しかし、一方でラービグの特徴として、原油価格の上昇に強いという点が挙げられます。ラービグでは安価なエタンを原料に使用しているため、原油価格の上昇によってコストメリットが得られるとされています。
住友化学は現在、経営状況の厳しさを受けて事業再構築に取り組んでいます。将来的な成長のためにも、効果的な改善策を実施し、業績の回復を目指してほしいと思います。
引用元:日経ビジネス(2022年11月15日)